事例01
組織
経営者の業務とは?
本当に貴方の仕事ですか?
関西を中心に居酒屋を展開するA社。経営会議の場で不採算店撤退に関する議題の次に取り上げられた議題はある店舗の従業員用ロッカーのカギの修理!、合い見積もりを取って対応するように指示をしながら経営者は心の中でつぶやく、「そこまで、私が指示すべきことなのか」と。
本来は現場責任者が判断すれば良いような実務レベルの相談が経営者に持ち込まれている例は意外と多い。 A社へは課題のレイヤー化を進める事を提案する十ともに組織の要所要所に業務判断ができる人材の育成を支援。要所要所に業務判断ができる人材を配置することにより、経営者が経営判断に集中できる体制が築かれる。さらに、一人で経営戦略を策定することに限界を感じていた経営者の負担を軽減し、精度の高い迅速な意思決定を実現するために経営者の相談役となる経営支援組織を組成し、人材育成を進めている。
事例02
業務効率化・生産性向上
「無償サービス」が当社の強み?
~生産性と価格交渉力の向上~
事務機器を販売するB社。機械設置時に本来は有償対応となる付帯作業を営業判断で無償対応を続けている。実際に付帯作業を担当するサポートチームの残業が増えていることに問題意識をもったサポート部門担当役員は付帯作業の有償化を訴えるが、有償化すれば競合に売り負けると主張する営業担当役員は主張する。顧客の要望に応じて、本来は有償対応すべき業務を無償で対応している企業も多い。
B社からの相談を受け、改善プロジェクトチームを組成。先ずは、無償対応サービスの見える化を進める為、業務分析を行い、有償化対象業務を抽出。さらに収益性分析研修を開催し、一人一人のコスト意識の変革を促す。顧客交渉ノウハウを共有し、有償化への切り替えを進めている。現在、改善プロジェクトチームは営業業務以外の会社全体の業務フローの見直しに着手しており、ムダを排除し、効率的な業務の推進に向けて活動を続けている。
事例03
原価管理
価格交渉力を強化するための
「値決め」の課題
和菓子製造事業者のC社は原材料の高騰を受け、商品の値上げを検討しているが、新価格を幾らに設定するのが適正なのかを決めかねていた。そもそも、急激な原材料費の高騰により、売れば売るほど損をしている商品が野放しになっている可能性もあった。
商品別の原価を割り出し、適正価格を導き出したいとの要望を受け、原価管理体制の支援を実施。伝票などの紙で保管されている原材料仕入れ価格、投入量、生産数量の記録をデータ化し、商品別の原価を割り出すとともに、販売管理システムのデータを活用し、顧客別の利益率を導出。どの顧客にどの商品を幾らで価格交渉すれば良いのか、値上げ交渉によりどの程度収益性が改善するのかのシミュレーションが可能となった。結果、大きく採算割れしている商品については、取引先へ値上げの根拠を指し示すことにより、従来価格の2倍の価格に見直すことに成功。さらに、顧客との値上げ交渉をスムーズに進める為、社内でロールプレイング形式の交渉研修を実施し、現在も継続的に交渉を続けている。
事例04
営業マネジメント
施策が幽霊のように消えていく
~営業マネジメント~
食品商社であるD社の期末会議では、本年度の営業活動における課題を列挙し、次年度の営業施策として複数の対策案を打ち出していく。しかしながら、期初に取り組み始めた施策が期中には立ち消えになる状況が続いていた。「決めたことが期末まで続けられる組織に変えたい」との相談を受け、営業マネジメント体制の見直しに着手。
結果、施策を実行に移すために具体的にどのような活動をすれば良いのかを営業担当だけではなく、営業マネジャさえも理解できていないことが判明。より、具体性のある実行計画へブラッシュアップを進めました。また、各営業担当者の営業進捗管理体制の見直しをはかり、計画実行フェーズの阻害要因を取り除いていきました。現在では、どのように活動すれば良いのかを営業部内で深く議論し、時には施策の見直しも主体的に行うようになりました。それぞれの営業担当者が自分事として施策を捉えるようになったことにより、継続的に施策に取り組む組織として活動しています。
事例05
組織
三遊間のゴロは誰が拾う?
~業務のグレーゾーン~~
業務用シャンプーを美容院へ販売しているE社で出荷手順の不備により、誤った商品が客先へ届けられるトラブルが発生した。再発防止策を検討する会議の場で社長はメンバーに意見を求めたが、誰も積極的に発言をしようとしない。会議が終わり、社長は出席メンバーになぜ、意見を言わないのかをそれとなく、聞いてみた。返ってきた答えは「マニュアルを作れば良いと思うが、会議の場でそれを言えば、自分の仕事になるから」との一言だった。
日々の仕事に追われ、業務の属人化が進むと、個々人の判断でこれは、自分の仕事はここまで、ここからは他人の仕事と割り切る傾向が強くなる。全体最適の思考を失い、部分最適に走り出すことで、自身の考える業務範囲の中での最適化への関心は高くなる一方で、他部門の業務に関しては無関心になっていきます。結果、組織の業務フローは寸断され、業務効率が低下するだけではなく、部門と部門、個人と個人の間にある三遊間の仕事が放置され、大きな問題を引き起こすリスクを抱える事となります。
これらの三遊間を無くすためにE社では、先ずは属人化した業務を改めるべく、業務の標準化を進めました。さらに、業務フロー分析会を開催し、自部門の上流工程、下流工程において他部門がどのような業務を行っているのかを学び、会社として業務の全体最適化を進めていきました。
これまでの自部門重視の部分最適の視点から全体最適の視点へ移行することにより、各部門で押し付け合っていた部門間に存在する三遊間の仕事を相互にカバーする意識が育まれていきました。現在では、部門を超えた小集団活動を自発的に行い、個々人が積極的に改善策を打ち出すようになっています。