経営

積み上げ思考(フォーキャスト思考)とイノベーションは相性が悪い!?

  • 現在、経営を刷新したい、と悩んでいる経営者も多いかと思います。

    ビジネスモデルが以前のように収益を生み出さなくなったり、働き手(社員)の意識が以前と大きく変わっているのを実感したり、顧客の思考も多様化し、競争も熾烈になっていたり、経営環境は確実に変化しています。
    変化の幅は、その時点において許容できる範囲であっても、数年後には大きな変化となって現れ、ギャップを認識した時にはそのギャップに対応しきれない状態になっている、ということも生じています。

    このような経営状況の中で、旧態依然とした経営を刷新したいと感じるのは、ごく当然の成り行きです。

    刷新は、英語でイノベーションと表現できます。
    イノベーションは刷新の他に革新の意味もあります。革新は技術に係るものだけでなく、新商品の導入、新市場・新資源の開拓、新しい経営組織の形成などを含む概念です。
    経営を刷新したいということは、新たな経営の概念、新たなビジネスコンセプトを創ることです。

    経営者は日々、経営上の問題や課題に心が囚われています。
    そのため、現状をいかに改善していくか、といった積み上げ思考(フォーキャスト思考)がベースにあるため、革新的な活動、新たな取組みについては無意識に保守的になっている場合がよくあります。積み上げ思考の代表的な取組みには改善活動があります。
    改善活動は、ビジネスモデルと経営方針等の範囲の中で取組む、ボトムアップ型の活動です。
    ビジネスモデルと経営方針が、経営環境に適合している場合には効果的です。積み上げ思考(フォーキャスト思考)では既存の制約条件がアンカーとなり、保守的な思考に陥りやすくなります。

    一方で、経営環境とのミスマッチを感じるということは、経営の概念(ビジネスモデルと経営方針等)がミスマッチを生じさせているということになります。つまり改善活動では対応できないため、新たな経営の概念を創るという取組みが必要になるのです。

    経営のイノベーションはいわば概念(コンセプト)創りであり、トップマネジメントの主活動になります。
    刷新・革新(イノベーション)は、中長期的な視点で、新たなビジネスコンセプトを創造する活動です。
    そのためには、ありたい姿をしっかりと描き、それを実現するためにどのような仕組み(ビジネスモデル)を構築するか等を、逆算思考(バックキャスト思考)で創りあげていきましょう。

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