多店舗展開を行う企業、特に飲食店や金融機関などは、顧客へのサービス品質を一定に保つことが重要です。しかし、実際には指示命令系統の機能不全やサービス品質のバラツキがしばしば問題となります。本コラムでは、これらの課題の要因とその解決策について探ります。
課題の背景
店舗調査を実施すると、よく見られるのが“調査実施時が混雑時間帯だった”や“アルバイトが休みで人手が足りなかった”という理由です。その結果、接客や料理の品質が基準を満たさない店舗が存在します。調査後には全店舗の状況をまとめた報告書を作成し、顧客経営陣と共有しますが、その際に問題の根本的な解決策が見落とされがちです。
よく見られる対処策の限界
報告を受けた際、多くの企業では「エリアマネジャー会議で事象を共有し、全店舗へ注意喚起を行う」といった対処策が採られます。しかし、これは以下の3つの理由から不完全です。
1. モチベーション低下のリスク
店舗スタッフは、一方的に不備を指摘されると「自分たちには理由がある」と感じ、納得がいかずモチベーションが低下する可能性があります。スタッフの心情を無視した対応は、業務の質に悪影響を及ぼします。
2. 自分ごととしての認識不足
該当店舗の問題を局所的な事象と捉えがちで、他店舗への注意喚起が「他人事」とされてしまいます。この結果、全体の意識向上に繋がらないことが多いのです。
3. 根本的な改善に至らない
問題の要因分析が浅いため、対処療法に終始し、再発のリスクを残してしまいます。真の改善には、問題の根本原因を探り、持続可能な解決策を導入する必要があります。
スタッフの声から見える課題
私が調査後のフォロー訪問で店舗スタッフにインタビューした際、様々な声が聞かれました。前向きに改善に取り組む店長もいる一方で、「調査時期は仕方がない」「本部からの指示が意味不明」など、現場の不満も多く存在します。これらの声からは、現場の事情が理解されていないと感じている様子が伺えます。
解決策の提案
このような問題を解決するためには、以下のアプローチが有効です。
・現場の声を重視する
定期的な意見交換の場を設け、現場のスタッフが抱える課題や提案を直接聞く機会を作りましょう。
・チーム全体での意識共有
各店舗間での情報共有を促進し、成功事例や改善事例を全体で共有する文化を育てることが重要です。
・根本的な分析を行う
問題の発生要因を徹底的に分析し、具体的な改善策を立案することが求められます。データ分析や現場観察を通じて、真の課題を浮き彫りにしましょう。
まとめ
多店舗企業におけるガバナンス強化は、単なる指摘や対処だけでは実現しません。現場の声を尊重し、全体の意識を高め、根本的な改善に取り組むことで、持続可能な成長を目指すことができるのです。次回のコラムでは、さらに具体的な改善策と成功事例を紹介し、多店舗企業のガバナンス強化について深掘りしていきます。
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経営陣の目に触れるお客さまからの不満の声は、ほんの一部です。背後にある全体像を捉えて、対策を講じていく必要があります。
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