前回に引き続き、多店舗展開している企業の店舗調査時に経験した改善策の不備について考察します。銀行や飲食店など、多店舗展開企業の店舗調査報告会でよく見られる問題点に触れ、短絡的な改善策がどのように現場のモチベーションを低下させるか、また本部との軋轢を生むかを詳しく述べました。
短絡的な改善策のリスク
短絡的な改善策は、現場スタッフが抱える「それなりの理由」を軽視し、問題の根本的な解決には至りません。このような局所的かつ対処療法的なアプローチは、再発のリスクを高めます。では、どのように問題を捉え、適切な対策を導き出すべきなのでしょうか?
問題解決のプロセス
店舗調査の本来の目的は、サービス品質向上を通じて顧客満足度を高め、集客力と売上を向上させることです。しかし、局所療法や短絡的な対策に終始することで、組織全体の改善に結びつかないことが多いのが現実です。報告会が開かれても、十分に活用されないのは非常に残念です。
そこで、私はスタッフ教育と並行して、企業としての「しくみづくり」に取り組むことを推奨しています。依頼があれば、関連部署と共にハンズオンで支援を行います。
実効性のある改善施策の導入
前回の例を踏まえると、たとえ混雑した時間帯であってもミスが発生しない仕組みを構築することが求められます。報告会では、これまでの「短絡的な改善施策」を「実のある改善施策」に改めることが重要です。具体的には、トラブル事象の内容をエリアマネージャーに周知し、該当店舗への改善指示を出すだけでは不十分です。
ハンズオン支援では、お客さまからのトラブル報告に対し、慎重に要因分析を行います。「たまたま、その時は…」という考えにとどまらず、その「たまたま」がなぜ発生したのかを考えるプロセスが必要です。この会議体をファシリテートし、企業内に組織化することで、継続的な改善活動が自走できるように促します。
丁寧な要因分析の重要性
調理した料理に不備が発生した場合、店舗側は「混雑している時間帯で調理スタッフの手が回らなかった」と考えがちです。しかし、「不備の要因は本当に混雑だったのか」「他に考えられる要因はないのか」「混雑によって業務が集中した場合、どのように業務の集中を緩和できるか」を丁寧に分析し、対策を検討する必要があります。
競争の激しい業界での対応
要因分析により、一店舗の問題なのか、全国の店舗で共通する根深い問題なのかを切り分けることが可能です。トラブルが発生した際に声を上げるお客さまは少数派です。競合他店が多い業界では、問題に対処せずに放置すると、多くのお客さまが声を上げずに他社へ流れてしまいます。そのため、一つの問題を安易に処理せず、丁寧に分析し、会社全体のしくみを構築することが求められます。
店舗サービス品質の維持・向上のご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。
経営陣の目に触れるお客さまからの不満の声は、ほんの一部です。背後にある全体像を捉えて、対策を講じていく必要があります。
当社はご相談企業様の中に、お客さまの声の分析から施策立案、実行管理に至るまでの組織づくりを支援しております。
あくまでも、自走できる組織を目指す為、ご相談企業様のご担当者、関連部門と共に改善組織を組み立ててていきます。
ご相談は コチラまで。