設備投資をするとき、何年先を見据えて投資の意思決定をしますか。
設備の耐用年数の期間でしょうか。
安定した既存事業に供するものであればそれもありです。
新たに取組む事業に供するのであれば、回収期間をなるべく短くしたい、と考えたりもします。それは、新しい取組みは不確実性が高いからにほかなりません。
では、10年先、20年先に実現したい会社の未来をどのように実現していけばよいでしょうか。
それには、逆算思考(バックキャスト思考)でアプローチするのが有効です。
実現したい会社の未来を、ここでは経営ビジョンと呼ぶことにします。
経営ビジョンをどのように創るか、という課題については別の機会で説明させていただきます。
この時、将来の経営環境を予測し、“ありたい姿” を思い描くことが可能です。
積み上げ思考(フォーキャスト思考)で未来の姿を描くと、現状の問題や課題、制約条件が足枷となり、希望も魅力も感じられないものが出来上がります。
問題や課題は時間が解決できるものとして思い切った未来を描いた上で、逆算思考(バックキャスト思考)で思い切った未来の実現を目指します。
1)As is, To beからGap認識し、経営課題を明確にする
経営ビジョンという “ありたい姿” が示されれば、現状を把握し、ギャップを認識します。
ギャップを解決するのが経営課題となりますが、重要度や優先度を明確にすることが大切です。
また、経営課題については、極力、自力で解決していけるものを基本としますが、新たな経営資源が必要な場合は、費用対効果等の見極めをすることが大前提とします。
2)Milestone(中間目標)を設定する
“ありたい姿” を実現するために、時間軸を逆算しながら、課題をいつまでに、どのように解消するか、それが解消するとどのような状態になるのかを考えていきます。これが “ありたい姿” を実現するための中間目標となります。
ポイントは、抽象化と具体化を上手く使い分けることです。
理想は、いつ、どこで、なぜ、だれが、なにを、どのようにすることで、どのような成果を得るのか、そのためにどのくらいの投資が必要か、といった5W2Hをできるだけ明確にすることです。しかし、10年、20年先といわずとも3~5年先を予測するのも難しい中で具体的に示すとしてしまった時点で、思考がスタックしてしまうか、現状をベースとした積み上げ思考に陥るのではないでしょうか。
そのため、どのような状態になるのかを、できるだけ具体的に表現していくことを心がけることです。
また、難易度の高い課題、重要な課題などを先送りにし過ぎるとバランスの悪い計画となってしまいますので注意が必要です。
3)経営課題やMilestone(中間目標)、経営ビジョンですら絶対的なものではない
題記のとおりで、経営課題やMilestone、経営ビジョンはあくまでも、ある時点において想定した仮説であるということです。計画を実行していき、年に1度は計画と実績を評価し、計画を更新(ブラッシュアップ)していくことで、精度を高めていけばよいのです。