原材料価格の上昇、人件費の増加に悩みながらも、商品の値上げに踏み切れない経営者からの相談が増えてきています。相談の内容は、値上げをすれば、取引を打ち切られる、あるいは、取引数量を減らされるなどの不安が先立ち、動けずにいるというものです。生産コストは上がっているのですから、販売価格を適正価格に見直しをかけていかなければ、収益性は悪化し、やがては事業の継続自体が困難になるでしょう。
適正価格への見直しが具体的なアクションに繋がらない要因の例として、「製品別の原価を算出するしくみが無い」、「どの商品を幾らにすれば良いのか、値決めの根拠が無い」や、「価格見直しによる影響を算出していない」などが挙げられます。
適正価格への見直しを進めるために、先ずは「現状価格を維持した場合、今後、5年間で自社の収益はどのように変化するのか」をシミュレーションしてみましょう。次に具体的な見直し案を策定し、適正価格採用後の収益計画を策定していきます。当然、これらの資料をとりまとめていく段階で、製品別の原価を割りだし、製品別だけではなく、販売チャネルごとに価格の見直し案を策定、そして、適正価格への見直し交渉を実施した場合、取引減少に繋がる場合などを想定し、収益シミュレーションを行っていきます。
一方で、取引先が値上げに応じてくれたのに、収益性が一向に改善しないというご相談を頂いたことがあります。よくよく聞いてみると、上記のようなシミュレーションを実施せず、十分な検討を行わないまま、取引先と交渉を進めたとの事でした。蓋を開けてみれば、設定した新価格は収益性を改善するには程遠い内容でした。
価格だけではなく、付帯作業や納期など、各種取引条件の見直しにおいても、自社の現状をしっかりと捉え、事前に収益計画を策定し、交渉に挑むことが肝要です。そして、交渉の際には具体的に原材料価格や人件費の変動に関する資料を指し示し、新たな取引条件が妥当性のあることを丁寧に説明することが求められます。
取引条件の見直しに悩まれている事業者様は、先ずは、ご相談ください。基本情報の整理、交渉資料の作成などご支援させて頂きます。