どうも、個々の企業の業務に密着したカスタムビジネス研修 “ForCus” をプロデュースしているシンジです。
このコラムでは実践的な研修内容、その他、様々な話題を皆さんに公開していくスペースとなっております。
*研修名 “ForCus” は “For our Customers(お客さまのために)” と “Focus(業務に焦点をあてる)” を掛け合わせた造語です
最近、経営改善プロジェクトに関するご相談をいただきました。その中で、以下のようなケースがありました。「経営コンサルタント主導で経営改善プロジェクトチームを結成したものの、結果的にはうまくいかなかった」というご報告です。詳細を伺うと、これまでは経営者が全てを決定し、組織を動かしていたとのことでした。しかし、経営者依存から脱却し、権限委譲を進めるために経営コンサルタントを招き入れ、プロジェクトチームを組成したそうです。ところが、プロジェクトが進むにつれてコンサルタントに依存し、チームの主体性が失われてしまったとのことです。
そこで今回は、経営改善を成功させるための「スモールスタート」アプローチについて詳しくご紹介します。
スモールスタートとは?
「スモールスタート」とは、大きな変革を実現するために、まずは小さなステップから始めるアプローチ方法です。経営改善プロジェクトチームを組成する際には、まずは小規模な試験プロジェクトに取り組むことで、最終的な目標達成への第一歩を踏み出します。スモールスタートの目的は、段階的に成功体験を積み重ねることによって、大きな変革をスムーズに実現することにあります。
スモールスタートの利点
リスクの最小化
スモールスタートでは、リソースを抑えつつ、実態に即した進行が可能です。これにより、失敗した際のリスクを最小限に抑えることができます。
柔軟性の確保
小さなステップで始めることで、状況の変化に応じた調整が容易になります。これにより、プロジェクトが予期せぬ問題に直面しても、柔軟に対応することが可能です。
小さな成功体験の積み重ね
小さな成功体験を積むことで、チームの自信が深まります。成功体験は次のステップへのモチベーションとなり、プロジェクトの継続的な成長を促します。
実際のアプローチと注意点
多くのコンサルタントは、教科書的な手法を提供します。例えば、課題の優先順位を付ける際には「緊急かつ重要」「重要だが緊急でない」「緊急だが重要でない」「緊急でも重要でもない」の4つに分類する方法や、各課題に対してスコアを付ける方法などを提示します。他にも、「価値(重要度)」と「努力(難易度)」の2軸で評価し、マトリックスに配置する方法を提示する場合もあります。
しかし、実際の現場では、こうした教科書通りの方法がそのままうまく機能するわけではありません。プロジェクトメンバーは、日常業務に追われる中でプロジェクトに参加しており、メンバー間の意見や経験は様々です。教科書通りに優先度を決めても、まとまりがないまま進行することになります。
そのため、プロジェクトを成功させるためには、最初の段階でチームの結束を高め、共通の目標に向かってベクトルを合わせることが重要です。スモールスタートのアプローチを取り入れることで、まずは小さな成功を積み重ね、チーム全体の経験値と自信を高めることができます。
私たちの支援する企業でも、比較的小さなプロジェクトからスタートし、段階的に組織を成長させてきました。最初は「もっと重要なことから取り組むべき」との声も上がりましたが、小さなプロジェクトでも実施手順や成果指標、スケジュール、マイルストーンの設定など、多くの要素をクリアする必要があります。このプロセスを経て、チームの結束力が高まり、自社の組織の特性を理解することが、実際の成功へと繋がります。
経営コンサルタントの役割は、単にプロジェクトを推進するだけではなく、最終的に自走できる組織を作り上げることにあります。スモールスタートのアプローチを取り入れることで、経営改善プロジェクトの成功率が大幅に向上する理由がご理解いただけたでしょうか。
【本日のまとめ】
・スモールスタートの重要性: 大きな変革を成功させるためには、小さなステップから始めることがカギ。
・利点: リスクの最小化、柔軟性の確保、小さな成功体験がチームの自信を高める。
・実例: 初期段階で小さなプロジェクトに取り組み、段階的に成長を促す方法が効果的。