チェスター・バーナードが提唱した「組織成立の3要素」というものがあります。
●共通の目的
●協働意欲
●コミュニケーション
です。組織とは、意識的に調整された二人以上の人々の活動や諸力のシステムです。
組織のベクトルを合わせるために必要不可欠なのが、共通の目的です。
会社組織の共通の目的は、経営理念や経営ビジョンの実現になります。
組織の構成メンバーである人々が、共通の目的に向けた協働意欲とコミュニケーション(意思の伝達方法)により、組織が成立すると言っています。
そのため、会社の経営理念や経営ビジョンは非常に重要な要素となります。ここは教育により組織メンバーに浸透させていきます。では、協働意欲やコミュニケーションはどのように活性化させていけばよいのでしょうか?
正論や理屈だけでは、人は動きません。
そのような訳で、ハーズバーグの二要因理論(動機付け・衛生論)や、マズローの欲求5段階説(生理的欲求・安全欲求・所属欲求・承認欲求・自己実現欲求)などが生まれました。
結局のところ、行動につなげるためには組織メンバーの内面と向き合い、付き合って行く必要があるのです。
従業員の意識を調査する意味は、真にここにあると考えます。
私たちが企業経営支援をしてきた中では、従業員の方々は真面目で頑張っているケースがほとんどでした。
計画や施策を実行できない理由・原因がどこにあるのか、その本質を見極める必要があります。
そして、それは社風、組織文化、組織風土、評価、業務負荷、処遇、管理者等の要素が大きく影響していることが多々あるのです。
面と向かってネガティブな発言をすると印象が悪くなるのを嫌い、本音は話さなくなります。
しかし、定期的に従業員の意識調査を実施すると、比較的本音に近い結果が得られます。継続することで、意識の変化をモニタリングできますので、経営の考え方や方針の発信の仕方や伝え方を工夫することが可能です。
さらに、意識調査の結果を分析し、分析結果を踏まえ会社として「~のような対策をとります」と明言し、実行することで、従業員が感じるネガティブ要素を丁寧の取り除いていくのです。これは、従業員の言いなりになる、という意味ではなく、できることとできないことは明確にした上で、会社組織としての考えを丁寧に伝える、という意味です。
つまり、従業員の意識調査を実施するということは、従業員の意識を把握し、会社組織の考えや方針を浸透させていくプロセスなのです。だからこそ私たちは、経営理念・経営ビジョンの実現に向けた実行の担い手である従業員の意識調査を推奨するのです。